上田賞、優秀論文賞
学会誌『Journal of Cardiology』に発表された原著論文の中から最も優れた論文に「上田賞」を、次いで優秀と認められた2編に「優秀論文賞」を授与し、優秀な研究成果を顕彰するとともに、研究の更なる発展を奨励いたします。
前年度(2019年7月~2020年6月)にJC誌に発表された原著論文(Original article)153編の中から選考委員会が厳正に審査を行ない、上田賞、優秀論文賞が選出されました。受賞された先生方の今後ますますのご活躍を心よりお祈りいたします。
Journal of Cardiology編集委員会
委員長 伊藤 浩
上田賞
畠山 稔弘
京都大学環境安全保健機構 健康科学センター
獨協医科大学埼玉医療センター 救命救急センター・救急医療科
この度の日本心臓病学会 上田賞受賞を大変光栄に存じます。 本研究では、市民救助者による心肺蘇生がない症例と比較すると、口頭指導の有無で心肺蘇生された院外心停止後の神経学的予後が異なりました。口頭指導不要だった症例の神経学的予後良好な割合が有意に高い(調整オッズ比1.90(1.47-2.46))一方で、口頭指導が施された症例では有意な差はありませんでした(調整オッズ比1.16(0.91-1.47))。口頭指導以外に、心肺蘇生の質の重要性が示唆されました。 今後、院外での心肺蘇生の質向上をテーマに臨床研究を続けていく所存です。 最後に、本研究をご指導くださった全てのみなさまに改めて感謝申し上げます。
優秀論文賞
このたびは、名誉ある日本心臓病学会優秀論文賞を頂き大変光栄に存じます。選考委員の先生方、貴重なご意見をいただいた査読者の皆様に深く感謝申し上げます。さらに、日頃からご指導いただきました下川宏明教授、佐藤公雄先生をはじめ、東北大学循環器内科研究室の皆様に心より御礼申し上げます。本受賞を励みに、臨床と研究の両面から医療に貢献するべく、より一層精進して参ります。激動の世の中ではございますが、皆様の益々のご発展を祈念しております。
優秀論文賞
豊島 勝昭
Patent ductus arteriosus, Left Atrial Size Evaluation in preterm infants (PLASE) 研究グループ
(神奈川県立こども医療センター新生児科)
PLASE研究は全国34施設の新生児集中治療室(NICU)で協働した大規模な前方視的コホート研究です。在胎30週未満の早産児の未熟児動脈管開存症手術を的確に予測する心エコー指標を見いだすことを目的としました。1年半で737名の早産児が登録され、出生体重で補正した動脈管径の予測能力が最も高いこと、新生児で心エコーが有用な根拠を明らかにしました。心エコー担当の270名を超える医師、臨床研究や生物統計に精通した医学者の研究グループの成果です。早産児の臨床研究を優秀論文賞に選出頂き、感謝と感動です。新生児により良い未来を届けるため、心臓病の病態解明、診療開発を仲間と継続します。ありがとうございました。